「企業は人なり」
「社員は利益を生み出す源泉である」
人材が会社経営で最も重要な経営資源であることを示した言葉です。
それゆえに、人事制度とりわけ、社員の評価制度である人事評価は、どの企業でも力を入れて取り組んでいます。
人を生かすも殺すも人事評価一つです。
会社が本格的に人事評価制度を導入するキッカケとなったのは、バブル崩壊を端に発した長期低迷期です。
年功序列人事から能力主義人事への移行に際して、人事評価制度は必要不可欠なものでした。
しかし、ここ数年、この人事評価制度に対して、
「本当に必要なものなのだろうか。」
といった疑問の声が出続けています。
今回は、人事制度が不要という声があがる背景と、人事制度にどう向き合うかについて説明します。
「人事評価制度は必要ない」と考える2つの理由
私は、人事評価制度は必要ないと考えています。
そもそも、人が人を評価するなんて出来るはずはありません。
正確にいうと、人が人を「正当に」評価することはできません。
もし、あなたが人事評価する側であったら、正当に部下を評価できる自信はありますか。
人が人を評価するとき、必ず言っていいくらい「好き嫌いの感情」や「相性の良し悪し」が
影響してきます。
というよりも、感情や相性のみをもって人を評価していると言っても言い過ぎではないのかもしれません。
いくら評価項目や評価基準に照らして、評価しているつもりでも、いつの間にか私情が横から入ってきます。
恋愛において、「人が人を好きになるのに理由なんてない」という言葉をよく聞きます。
その意味は、人間関係は理屈では成り立たないということです。
人事も、これと大変よく似ています。
人事評価制度は、評価する側と評価される側がいるわけです。
ある種の人間関係と捉えることができます。
であれば、理屈が成り立たない、感情だけの関係が生まれても何ら不思議はありませんね。
ここまでが、人事評価制度が不要であると考える1つ目の理由です。
2つ目の理由は、人事評価は人間関係を破壊させてしまうからです。
ある調査によると、会社への不満の第1位が、「自分への評価が低い」というものでした。
もしかしたら、あなたもそうかもしれませんが、多くの人が「自分を過大評価する傾向」があります。
会社での仕事は、周囲との協力やサポートがあって成り立っている面が多々あります。
しかし、多くの人は、そういう部分を見ようとはせず、自分だけが頑張っていると思い込んでしまっています。
ただ、自分への評価で不満に思う分には、自分一人で落ち込んだり、悔しがったりしていれば済む話なので大問題には至りません。
問題なのは、自分の評価を他人の評価と比べてしまうことにあります。
「自分への評価はこれくらいなのに、なぜあいつの評価はあんなに高いんだ」
「毎日、あいつより早く出社して頑張っているのに、あいつより評価が低い」
「自分の評価が高いor低いか」より「自分の評価が、他人に比べて高いor低いか」の方が気になるのです。
そもそも人事評価制度は、昇給や昇格を決めることが目的ではありません。
個人目標を設定し、そこにどれだけ近づいているか、自分の成長のためのツールとして用いられていました。
本来は、社員のやる気や能力を育てるためのものです。
いまでは社員同士の嫉妬や不仲を育てるためのものとなってしまっています。
人事評価を不満に思って、退職したり、やる気を失ったりする人も出ています。
その数が些少であれば良いのですが、会社への不満の第1位に人事評価への不満があげられるくらいですから、些少ではすみません。
これでは、人事評価制度が人材育成のためではなく、会社崩壊のきっかけを作るものとなってしまいます。
人事評価制度にどう向き合えばよいのか。
人事評価制度が必要ないといくら主張しても、それによってあなたの昇給や昇格が決定されていくのが現実です。
ただ、愚痴っていても何の解決にはなりません。
では、どのように人事評価制度に向き合えばよいのか。
私であれば、人事評価に納得できない時は、その理由を教えてもらうようにします。
そして、次の人事評価までに、指摘されたダメな箇所を修正することのみに努めます。
例えば、上司から「提案力」という評価項目が低いと言われたとしましょう。
それであれば、これまでよりも提案の数を増やすように努力します。
他の評価項目は無視して、ひたすら提案力の強化に努めます。
じつは、「提案力のみに注力」という点がポイントなのです。
人事評価というものは、好き嫌いの感情が入ってくると述べてきました。
私への評価が低いのは、提案力が原因ではなく、私が嫌われていることが主因かもしれません。
そのためには、上司が持っている私への嫌悪感を捨ててもらわなければなりません。
そこで、私が、「提案力が弱い」という上司の評価を忠実に聞き入れ、そして提案力を強化しようとする真摯な姿勢を見せるのです。
そうすれば、上司は「俺の忠告を素直に聞き入れ、頑張っているな」といった思いになり、嫌悪感は徐々に薄れていったりするものです。
社内評価より社外評価を気にするべき時代です。
世の中は理不尽なことだらけです。
会社員にとっての理不尽なことの最たるものが、『人事評価』です。
どんなに頑張っても、それを評価するのは上司です。
上司は人格者でもなければ、客観的で公平な視点を持っている人物でもありません。
どこにでもいる凡人です。
そんな凡人が、相性が合わないことを理由に、または好き嫌いを理由に、私の人生を奈落の底に落とすような評価決定を下すのです。
もしかすると、あなたも私と同じように理不尽な人事評価を受けたことがあるかもしれませんね。
しかし、こうした経験も2回、3回と繰り返すと、冷静に物事を考えることができるようになってきます。
どういう意味か?
会社は一つではありません。星の数ほどあります。
「いまの会社から低評価を受けるのであれば、他の会社に行けばよいだけ!」
そう考えるようになってから、上司からの評価なんてどうでもよくなりました。
その代わりに、今まで以上にスキルアップをし、自分の労働価値を高めることに集中するように心がけるようになりました。
あなたも、私を同じように、人事評価に理不尽さを感じたことがあるならば、バカ上司を相手にせずに、あなたの労働価値を高めることに集中しましょう。
労働価値を高めておけば、いつでも他の会社へ移ることができます。
ただし、労働価値を高めるといっても、何をどうすればよいか分からないものです。
そのためには、まずはいま現在の自分の労働価値を知っておくことです。
現状の価値を知っておかなければ、何をどこまでレベルアップすべきか分かりませんよね。
それを教えてくれるのが、転職のプロであるリクルートエージェントです。
転職する人は、必ずと言っていいほど、リクルートエージェントに登録し、自分の労働価値を把握しています。
自分の労働価値を把握し、更なる価値の向上に励んでいます。
そうすれば、バカ上司に納得できない人事評価を下されたときには、いつでも他社に移ることができます。
大事なことは「常に、自分の人生は自分の手中に置いておくこと」です。
他人に人生を委ねるのだけは止めておきましょう。
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