「この仕事は君に任せたから」
そのように上司から言われて粛々淡々と仕事に取り組んでいましたが、なかなか思うような結果が出ませんでした。
私は役職もついていない平社員です。
そのとき上司から言われた言葉が「お前が責任を取れ」でした。
「えっ!私がですか」
「責任は上司のあなたが取るべきでは?」
一瞬、そう言い返しそうになったが、グッとこらえました。
私が管理職であれば、あるいは何らかの権限を与えられていれば責任を取ることもやぶさかではありません。
しかし、私はただの平社員。
責任は上司である管理職が取るべきです。
上司が責任を取らないのであれば、何のための上司なのか。
ただ偉そうにして仕事だけ押し付けておいて、あとは知らないといった姿勢はいかがなものだろうか。
会社なんて理不尽の塊です。
本来、役職とは組織上のポジションに過ぎないのに、まるで身分を表しているようにしか思えません。
上の者が下の者に対して権限を振るい、下の者をそれをただ受け入れるしかない。
上の者は下の者に仕事と責任を押し付け、手柄は上の者が取っていき、失敗の責任は下の者に押し付ける。
こういったことは私の会社だけでおこっているわけではなく、他の会社でもがおこっていることです。
おそらく、あなたの会社でもおこっているでしょう。
こうした状態を会社が放置しているとどうなるか。
・平社員が不満に思って、辞めて行きます。
・平社員がやる気を失っていきます。
さすがにこれでは会社は維持できません。
平社員のなかでも、特に優秀な人ほど率先して他の会社に逃げていくでしょう。
優秀な人がいなくなっては上の者も自分がラクできなくなります。
優秀な働く者があるからこそ、上の者は責任転嫁してラクできているわけですから、そこは上の者も十分に理解しているはず。
そこで、悪知恵が働く会社はどうするかというと、
『役職の安売り』を実行します。
役職の安売りとは、課長や係長、または店長などの役職を多少の役職手当をつけて乱発することです。
猫も杓子も皆、一応の管理職にしてしまうわけです。
そして。。
一応の管理職になった社員に責任を負わせるわけです。
管理職と言っても、一応の管理職ですから「名ばかり管理職」です。
権限等はありません。おまけに役職手当も気持ち程度の額です。
会社が役職を与える目的は、責任を負わせることにあります。
「あなたは課長だから、責任もってしっかりやってね」
「あなたは店長だから、責任もってしっかりやってね」
会社からそう言われれば、今度は役職がついているだけに「私は責任は取りませんから」とは言えません。
「地位が人を作る」と言うように、会社としては、社員を役職につければ役職相応の人物になってくれるかも。といった期待を持っているのかもしれません。
ただ、それは二次的な目的です。
やはり一番の目的は「社員に責任をもって仕事を欲しい」ということです。
役職を与えて、責任逃れをさせないように外堀を埋めているわけです。
役職という肩書は社外の人には効果的です。
社外の人から見れば、課長や店長等の役職名がついていれば、その人が能力に乏しくても責任者として接してきます。
さらには、その人に権限がなくても権限を持っているのだろうと思って接してきます。
そうなると、その人には自然と責任が生まれてくるわけです。
役職を与えられて喜ぶ人もいるでしょうが、
一方で「役職なんていらない、管理職なんてなりたくない」と言う人もいます。
その理由は人ぞれぞれですが、その一つに「待遇が釣り合わない」いうことがあります。
私がそうです。
管理職になれば、責任は発生する。部下の面倒は見ないといけない。その割には給料が伴っていない。
だから管理職なんて引き受けません。
私は過去数回、はっきりと申してきました。
「この程度の給料で管理職となって責任を負いたくはありません」と。
そして、もし責任を負っても見合うだけの待遇が提示されれば、管理職を引き受けることにしています。
しかし、いくら良き待遇を提示されても管理職になりたがらない人がいます。
本人の性格的なものもありますが、責任を負うことによるデメリットを重んじているのでしょう。
・心身ともにボロボロになるのがイヤ。
・家に帰っても仕事のことで頭がいっぱいになるのがイヤ。
管理職になって責任を持つということは、なにがしら私生活を犠牲にしなければなりませんから。
しかしそうはいっても、本人が望まなくても管理職をさせられてしまう事態はおこりえます。
ある程度の年齢に達し、仕事ができる人であればどうしても管理職を受けざるを得ない状況が訪れるのです。
そういう状況でもなお管理職になりたくなければ、他の会社に転職するしかありません。
転職には前向きな転職だけではなく、今回のような逃げの転職もあってもよいのです。それで本人が幸せになるのであれば良い転職となるでしょう。
責任を押し付けられ苦痛を感じるのは、ほかならぬ本人です。
とにもかくにも、責任だけを押し付けてくる会社に何も対応策を講じなければ、あなたは利用され続けることになります。
それだけはあってはならぬことです。