転勤が嫌いな人は多い。
転勤は生活拠点を動かさなければならないので、とにかく面倒くさい。
出張とは全く別物です。
できることなら、転勤は避けたいものです。
しかし、転勤辞令が下れば、仕方なく赴任先へと異動しなければなりません。
なぜなら、転勤を断ることは、すなわち、退職することになるからです。
私は転勤だけは絶対NGです。
20代に転勤族だったため、30代からは転勤はしないと決めていました。
それでも転勤辞令を30代でもらったことが一度ありました。
その時は、拒否しました。そして、その会社を退職しました。
転勤命令は業務上の命令の一環です。断ることはできません。
断るということは退職することになります。
厳密に言えば、会社に解雇する権利が生じるということです。いずれにしろ、会社は去ることになります。
私がもらったその転勤辞令は、その会社での最初の転勤にあたります。
どうして、私が最初の転勤命令でその会社を見限ったのか?
それは転勤のループに嵌(はま)ることを避けるためです。
つまり、最初の転勤辞令を受けることで、私の『転勤族』人生がスタートすることになります。それは受け容れることはできませんでした。
なぜなら、転勤族になると多くのリスクを背負うことになるからです。
今回は、転勤族になることがいかに多くのリスクを背負うことになるかについて説明します。
いまや転勤制度は社員に何のメリットもない。
転勤制度は無用の長物です。
社員にとっては、何のメリットもありません。
それにもかかわらず、社員が転勤を受け入れてきたのは、終身雇用制度があったからです。
どういう意味か?
社員は、最後まで会社に面倒を看てもらう代わりに、それと引き換えに転勤を呑んでいたのです。
しかし、ここに来て、終身雇用制は崩壊です。
転勤制度だけが残ってしまいました。
つまり、転勤族の社員は、いつ会社に見捨てられるとも知れない状況で、転勤だけを続けている状態ということです。
転勤族は、転勤が出世するための条件だと勝手に思い込んでいる。
転勤族は、どうして嫌々ながらも転勤を続けるのでしょうか。
もしかすると、転勤がそれほど苦にならないのか?
それとも、転勤のない会社に転職することにエネルギーを費やすよりも、転勤したほうがマシであると考えているのだろうか。
その真意はわかりません。
ただ、次のように考えているのであれば危険ですね。
「転勤すれば、会社からの評価が高くなり、出世できる。」
その考えの裏には、「転勤することで会社への忠誠心を示している」といった考えをもっているのかもしれませんね。
この考えは明らかに間違っています。
その証拠に、転勤を繰り返している社員のなかでも、出世していない人はいます。
出世できるかどうかは、その人の仕事における能力と実績しだいです。
転勤すれば、出世できるというのは誤った考えです。
分かりやすい例をあげると、東京本社勤務から田舎の出張所に転勤する社員がいるとしましょう。
この社員は、田舎に転勤となりますが、出世コースに乗っていると言えますか?
転勤族のなかには、左遷や降格の対象となっている社員もいるということです。
転勤族が抱える多くのリスクとは。
転勤族は、「会社の中を全国規模で異動している」遊牧民のようなもの。
転々と仕事の拠点を変えていくため、その環境に慣れることにエネルギーを吸い取られていきます。
そうなると、自分の意思で生きていくというよりも、会社へ寄りかかって生きていくようになってきます。
つまり、会社の中でしか生きていけない人材になっていくということです。
これは、飼い殺しに似ています。
これでは、会社内で飼われているリスクを背負わされることになります。
さしずめ、『飼い殺しの転勤バージョン』と言ったところでしょうか。
飼い殺しについては、こちらの記事にて詳しく書いています。↓
・飼い殺しにされると仕事がラクチン。でもいつの日かそのツケを払うことに。
社員は転勤を続けることで、その会社専属の働き手に仕上げられていきます。
転勤の経験者であれば分かると思いますが、転勤は、環境に慣れることに必死です。
仕事の拠点だけでなく、生活の拠点をも移すことになるからです。
転勤先へ転居すると、まずは仕事よりも生活に慣れることに注力します。
地理は全く分からない。友人や知り合いはいない。店の場所も分からない。
そういった状況から、生活を始めていかなければなりません。
そして、仕事に関しても同じです。すべてがゼロからのスタートです。
仕事内容はもちろんのこと、職場の同僚も初対面のため、ゼロから信頼関係を築いていかなければなりません。
さらには、お客様や取引先ともゼロから信頼関係構築です。
とにかく、転勤は多大なエネルギーを必要とします。
そして、やっと環境に慣れた頃に、また次の転勤辞令が下るのです。
これでは、目の前の次々に襲ってくる環境の変化に対応することで精いっぱいですね。
そして、気が付いたら「会社人間」になっていたということです。
「会社人間」とは、その会社の中でしか生きていけない人材です。
転勤の流れに必死についていくなかで、必要なスキルや技術が身に付いていなかったということはよくあります。
「年齢を重ねている割には、スキルが乏しいね」といった事態です。
しかし、これは仕方のないことです。
なぜなら、次々に襲ってくる転勤の波に適応することにエネルギーを奪われてしまっているのですから。
このままでは、人生の主導権は、会社に握られてしまいます。
安い給料で、都合よく使われてしまいます。
会社が危機に瀕しても、会社と共に一緒に沈んでいくことになります。
これが、転勤の最大のリスクである『飼い殺しの転勤バージョン』です。
転勤族は会社を抜け出すのが困難です。
ということで、この状況から一刻も早く抜け出さなければなりません。
『転勤のない会社に転職すること』です。
ここで転勤ならではの壁が立ちはだかります。
それは、「転勤先から転職活動を始めなければならない」ということです。
地元の会社に転職しようにも距離が遠すぎてままなりません。
たとえば、九州に転勤になっている東京出身者が、地元の東京の会社へ転職をしようとしても、それは大変厳しいものになります。
求人情報は、ネットで探すことはできます。
問題は、面接です。
距離にもよりますが、先程の東京ー九州間であれば、面接1回のために飛行機代を使って面接に行きますか?って話です。
とても現実的ではありませんね。
そうなると、いまの会社を辞めてからの転職活動になってしまいます。
無職の状態での転職活動は、経済的にも精神的にも負担になりますが、転勤族を続けることに比べれば負担は一時的なものです。
ここは歯を食いしばって頑張りましょう。
⇒転職活動は在職中に行うべきか、それとも退職して行うべきか。
⇒転職先が決まらずに退職してしまったら、派遣で働きながら転職活動を継続しましょう。
もし距離的に面接にいけるのであれば、在職中の転職を目指すことも可能ですね。
そのときは、転職エージェントの『リクルートエージェント』にお願いしましょう。
求人探しから面接調整まで全てやってくれます。
あとは面接に行くだけです。
時間とお金を上手く都合付けてやるだけです。
おわりに
転勤族は、転勤を続ける中で、会社人間に仕立てられているのです。
そして、そこから抜け出そうにも、転勤族は、距離の問題で転職活動に大きな壁が立ちはだかります。
転勤族のリスクは、ほかにもあります。
たとえば、給料が安くてアルバイトで副業をしていても、次の転勤先への赴任命令が出ればアルバイトを途中で辞めなければなりません。
たとえば、自己啓発のために習い事や資格勉強のため学校通いしていても、次の転勤先への赴任命令が出れば学校を途中退学しなければなりません。。(私が20代の時に実際に経験済み)
転勤族になると、人生のあらゆるチャンスを奪われます。
転勤ループに嵌(はま)ったらオシマイです。
そうならないためにも、転勤のない会社に入りましょう。
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