最近はパワハラ問題がマスコミでよく取り上げられています。
パワハラとは、一言で言えば、権力を持った者が下位の者に苦痛を与えることです。
会社に代表されるように組織構造がピラミッド状で、上に行くほど権力や権限を持てるようになっている組織であれば、ほぼ例外なくパワハラ、もしくはそれに匹敵するようなことは発生しています。
パワハラ問題は根が深く、解決することが極めて困難です。
その一番の理由はパワハラに明確な基準がないことです。
そのため、パワハラを受けた社員と、パワハラをおこなった上司との間に認識のズレが生じてしまうのです。
たとえば「上司が部下に対して指導のつもりで放った言葉が、精神的苦痛を生む言葉として受け止められてしまった」といったようなことです。
さらに、パワハラ問題は感情論的な側面もあります。
上司と部下の双方がどこまで信頼し合えているか、または、どのくらい好き嫌いの感情を持っているか、といった問題です。
パワハラ問題はいったん起きてしまうと、双方が何事もなく元の鞘に収まることはありません。
もし、あなたがパワハラに遭うことがあれば、どうしますか。
その際には、極めて難しい選択を迫られることになります。
今回は、あなたがパワハラを受けた場合のとるべき手段について説明します。
パワハラ問題は明確な基準がないから厄介だ。
パワハラの認定は難しい。
絶対的に外してはいけない点は、会社の職務上の優位な立場を利用して行った行為であること。
となれば「上司が部下に対しておこなった行為」ということになります。
そして、この点にプラスして重要な点は、上司からの行為に対する「部下の受けとめ方」です。
たとえば、あなたの上司が、あなたに暴言を吐いたとしよう。
それによって、あなたが精神的苦痛を受けたとなれば、パワハラ行為として認定される可能性が高いでしょう。
一方で、あなたの上司が、同じ暴言をあなた以外の部下に吐いたとしよう。
その部下は精神的苦痛を受けるどころか、何とも思っていないとなれば、パワハラ行為でも何でもないということになります。
同じ上司が、同じ暴言を吐いても、部下の受けとめ方でパワハラ行為であるかどうかの認定に違いが出てくるのです。
つまり、パワハラには、部下の心の内面といった目に見えないものが認定基準にあるわけです。
となれば、暴言を吐いた上司のほうは、パワハラの自覚がない状態で暴言を吐いている可能性だってあります。
なぜなら、上司は、部下が精神的苦痛を感じているかどうかなど分かるはずはないからです。
こうした基準の曖昧さが、上司の暴言や嫌がらせをエスカレートさせていることは否定できません
パワハラ問題は感情論の問題でもある。
パワハラに該当するかどうかは別にして、上司からの暴言を吐かれたり、仕事上で嫌がらせを受けたりしたことはありますか。
上司に怒られたり、怒鳴られることは、誰でも一度は経験あるのではないですか?
もちろん、私も経験はあります。
それが、単発で終わるのであれば問題ないのですが、長期にわたって続くとなると心身が衰弱していきます。
私も、これまでの会社で幾度となくこういったケースは見てきました。
特にオーナー企業でよく見られる風景です。
オーナー企業の特徴については、こちらの記事に書いています。↓
・オーナー企業で働くことは自分を殺して生きること
どうして、こういった事態にまで至るのか。
その原因は上司の感情的な側面が強いと私は考えています。
上司だって人間です。好き嫌いの感情はあります。
上司にとって嫌いな部下がいて、その部下が仕事ができない人であれば、怒りのボルテージは上がってきます。
これがパワハラへの入り口です。
そして、これが長期間続くにつれて、いつしか、怒りの説教が暴言へと変わっていくのです。
そうなれば、部下はたまったものではありません。
精神力が強いとか弱いとか言っている場合じゃありません。
会社へ行くだけでもツラくなってきます。
パワハラを受けた場合、逃げる以外に選択肢はありません。
我慢するにも限界があります。
上司の度重なる暴言や嫌がらせを受けて辞めていった社員を何人も見てきました。
はたして辞めていった人たちは正しい選択をしたといえるのか。
他に選択肢はなかったのか。
結論からいうと、正しい選択をしたといえます。
えっ?と思われた人もいるのではないでしょうか。
おそらく、そう思った人は「暴言を受けた社員は、精神的苦痛を受けたのだから、戦えば勝てるではないか。」と考えたのではないですか。
退職か?それとも戦うか?正直迷うところではありますが、
それでも『退職する』の一択です。
なぜか?
戦うと言ったって戦う方法が見当たらないからです。
まさか上司に直接文句を言いに行くわけにはいかないでしょう。
それとも、上司の上司に助けを求めに行きますか。
そのようなことをしても、火に油を注ぐだけ。
それは告げ口したことになるので、それを知った上司はさらにパワハラをエスカレートさせることになります。逆効果ですね。
「よし!それでは」と腹を括って、労働局に相談にいきますか。
明らかなパワハラの証拠をもち、これで解決できると思って行ったはいいが、すぐに労働局の態度に失望することになります。
労働局が動くことはありません。
なぜなら、パワハラは法律で禁止されているものではないからです。
法律で禁止されていないことに対して、国の機関は積極的に動くことはありません。
多少のアドバイスをくれるとは思いますが。。。
それが精いっぱいの対応です。
以上のように、パワハラに遭って戦おうとしても戦いようがないのです。
あとは、精神の限界まで耐えるしかありません。
それでも、いつまで精神が持つかどうか。
人事異動のある会社であれば、パワハラ上司とお別れできる可能性があるので多少は心の支えにもなります。。
しかし、中小で人事異動のない会社であれば、もう絶望的です。
心身をやられて働けなくなる前に、退職するべきです。
会社はほかにもいくらでもあります。いまの会社が全てではありません。
最終手段として裁判に訴えることの可能性
このままやられっぱなしでは怒りが収まらない。
最終手段は、裁判に訴えることです。
パワハラは法律で直接禁止されているものではありませんが、決して許される行為ではありません。
実際に傷ついて損害を被っているわけですから。
ゆえに、裁判に訴えて、相手に損害賠償請求を起こすことができます。
ただ、当然ですが、お金と時間は費やすことになります。
そして、なによりも頭に入れておいてほしいことがあります。
それは、裁判に勝っても、会社に戻ることはできないということです。
裁判に勝てば、いくらかの賠償金はとれますが、いまの会社で仕事をすることはできなくなります。
パワハラで訴えるということは、上司だけではなく会社も訴訟の対象になります。
会社を相手に裁判をおこして、今後もその会社に居続けることができるほど無神経な人はいないでしょう。
ということで、訴えても構いませんが、同時に、次の仕事探しに備えておきましょう。
おわりに
裁判に訴えても、賠償金はとれますが、元の会社生活を取り戻すことはできません。
それに裁判をしても、勝てる保証はありません。
それが嫌なのであれば、訴訟などせずに、そのような会社からはさっさと逃げて、次の会社に活躍の場を求めるのが賢明な選択です。
⇒いまの会社に我慢できない人へ。「逃げの転職」も人生戦略の一つです。
悔しい思いはあるでしょうが、運が悪かったと思うことです。
たまたま、バカ上司にあたってしまっただけ。
あなたの能力やスキルが劣化したわけではありません。
できるだけ早いうちに、心身が良好なうちに、あなたの能力を発揮できる場所に移動してしまいましょう。
・ミドル世代になったら「失業に耐えうるだけの現金」を確保しておくこと。
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