「転職先を決定すること」
これが転職活動のゴールだと思っている人が多いのではないでしょうか。
じつはそれは目標であって、ゴールではありません。
ではゴールはどの地点なのかというと「転職先に無事に入社したとき」です。
無事に?なんか意味深な言葉ですね。
当然ながら、新しい会社に入社する前には、いまの会社を退職しなければなりません。
じつはここにちょっとした修羅場が待ち構えているのです。
つまり、スムースに退職できないケースが往々にしてあるということ。
ひどいケースでは退職を妨害されたり、または退職日までの間に嫌がらせをされたりといったこともあります。
退職者は円満退職できることを願っていますが、そうはいかないケースもあります。
その場合の対処法としてあらかじめ退職に関する知識を持っておく必要があります。
今回は、退職の手続きに関して知っておくべきこと、そしてスムーズに退職できるための方法についてお話しします。
退職願は「退職日の2週間前」に提出すれば良い
退職の第一歩は退職願を提出することです。
正直、あまり気持ちのいいものではありません。
上司の反応を気にしながらの提出ですからね。
私の経験では、上司の反応は大きく2つに分れます。
1つ目は「退職することを引き留められます」
これは会社との関係が良好で、なおかつ会社に評価されている場合です。
それでも退職の意思が固いことを説明すれば、会社は納得してくれ、快く送り出してくれます。
送別会を開いてくれたりとまさに円満退職です。
しかし、心の片隅では「申し訳ないな」といった後ろ髪引かれる思いはありますね。
もう1つは、それとは対照的に「あっさり退職願を受理してもらえます」
これは会社との関係が良好ではない場合です。
会社の心境としては、辞めてくれて良かった!といった気持ちなのです。
送別会などはありません。
事務的な挨拶をして去るだけといったものです。
表面上は円満ですが、双方ともにさっさと別れてしまいたいといった思いがあります。
以上、2つのケースがありますが、
いずれにせよ、退職することは気持ちの良いものではありません。
気持ちの良いものではないからこそ、提出した後はできるだけ長くは会社に居たくないものです。
出来れば退職願を提出して、次の日から会社に行かなくても済むのであればそれに越したことはありません。が、そうはいきません。
では、最も短くてどのくらいの期間行く必要があるのか。
ずばり『最短で2週間』です。
退職したい日が自分の中で決めているのであれば、退職願の提出は、その日の2週間前で大丈夫ということです。
会社によっては、就業規則で自己都合退職は少なくとも1ヵ月前に申し出ることなどと書かれていますが無視しても大丈夫です。
これについては法的拘束力がありません。
民法に規定されている『2週間前提出』が法的には強い地位を占めています。
もちろん、お世話になった会社で引継ぎ業務をきちんとして退職したいということから、退職願を提出した後に1ヵ月でも、2カ月でも好きなだけ残っても構いません。
退職後に必要となる書類を郵送してもらうこと
退職の際には、会社から退職後に必要な書類をもらわなくてなりません。
きちんとした会社であれば、必要な書類を自宅に郵送してくれますが、残念ながらそうではない会社もあります。
事務レベルが低い会社であったり、喧嘩別れした会社であれば意図的に送って来なかったり場合もあります。
その場合は会社へ催促しなければなりません。
会社を去った後に、改めて会社に連絡するのが嫌であれば、会社を去る前に必ず送るように念押ししておくことが賢明です。
必要な書類は、以下の2点です。
1、源泉徴収票
その年の1月1日から退職日までの給与総額、および給与天引きされた所得税の額を表したものです。
この源泉徴収票は、次の会社に提出しなければなりません。次の会社での年末調整に必要となります。
2、離職票
離職票は、失業手当を受給する際に必要となります。
次の仕事が決まっていれば、失業手当を受給することがないので、離職票は必要ないのではないかと考える人もいるかと思います。
たしかに、その通りです。。
ただし、それは次の仕事が1年間続いた場合の話です。
もし、不幸にも転職先での勤務が希望に沿うものでなく1年足らずで退職した場合、失業手当を受給するためには『転職先での離職票』とは別に、『いまの会社での離職票』が必要となります。
つまり、2社からの離職票が必要となります。
従って、いまの会社を辞めるときには『いまの会社での離職票』を必ず発行してもらうようにしておきましょう。
有給休暇は全て使い切ること。
退職するときにしかできない密かな楽しみがあります。
「残りの有給休暇を一気に消化できること」です。
勤務中、有給休暇は、特別な事でもない限り、一日単位でしか使えないのが実情です。
ある程度の期間をまとめて使えるなんて夢のまた夢です。
しかし、退職が決まってしまえば、気にする必要はありません。
社内に退職が知れ渡った状態では、残りの有給休暇をまとめて取得することに反対意見は出ません。
是非、有給休暇を使い切りましょう。
転職は環境が大きく変わるため、一度気持ちをリセットする必要があります。
有給休暇の残り一括消化は、心のリフレッシュ休暇といった意味合いもあります。
おわりに
立つ鳥跡を濁さず。
引き継業務をきちんとおこなって、会社に迷惑をかけずに去るのが最も良いことです。
貰うべきものはしっかり貰って、そしてやるべきことはしっかりやって、お別れしましょう。
もしも、会社が退職を阻止するために何らかの手段を講じてきたならば、かまわずに労基署に相談しましょう。
退職は、労働者の権利です。
労働者が辞めたいという意思表示をした場合、すなわち退職願を提出した場合は、必ず退職はできます。
堂々と、退職の手続きを進めていきましょう。
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