会社員である以上、人事異動は避けられません。
一般的には、年1回、もしくは年2回のペースで行われます。
会社員は人事異動の時期になると、心の中がソワソワし始めます。
私も人事異動の時期になると、仕事が手につかなかったことを今でも覚えています。
いまは、人事異動のない中小企業で事務職です。
あの時の緊張感を味わうことはもうありません。
どうして、人事異動の時期になると、社員がソワソワし始めるのか。
それは、人事異動が人生を変えるだけの大きなイベントだからです。
私は、ずっと疑問に思っていることがあります。
「人事異動は、誰がどうやって決めているのだろうか」
そして、こうも思っています。
「人事異動は何を基準に決めているのだろうか」
とにかく人事は予測できません。
人事異動のたびに疑問や驚きがあります。
- どうして地方の支店に異動になるの?
- どうして事務職から営業職なの?
- どうして課長へ昇格なの?
社員にとっては、疑問や驚きの多い人事異動でも、会社にしてみればきちんとした根拠と目的があっての人事異動なのです。
つまり、人事は会社の都合で、社員の都合なんて関係ないということです。
今回は、会社の人事異動が社員の市場価値を下げてることについて説明します。
ジョブローテーションは出世のための条件になっている。
会社員である以上は、会社の人事異動に逆らうことはできません。
そして、人事異動は会社の都合により行われるもので、社員の都合など関係ありません。
会社の人事異動の大きな特徴に『ジョブローテーション』制度があります。
ジョブローテーションとは、一定期間ごとに社内の様々な部署を異動し、それぞれの業務を経験習得していくものです。
これは「会社に最適化した人材」を作り出すシステムに他なりません。
会社全体の業務を経験することで、会社のことを知ることができ、そして会社内での人脈を広げることができるのです。
そして、多くの会社ではジョブローテーションを受け入れることが出世の条件になっています。
将来、会社の役職に就くのであれば、会社の一部だけはなく、会社全体を知っておきべきという会社の考えなのでしょう。
小さな会社であれば、ジョブローテーションなどせずとも人の交流や情報の交換などで会社全体を知ることはできます。
しかし、大手企業ともなればそうはいきません。
多くの事業に、多くの職種。さらに事務所は全国もしくは世界に広がっています。
ジョブローテーションでもやっていかないと会社を理解するのは難しいということです。
ジョブローテーションの落とし穴に嵌(はま)ってはいけない。
ジョブローテーションは、出世するためには拒否できない人事制度です。
転勤異動、慣れない部署への異動、職種の変更と転々と職場が変わっていきます。。。
そして、その過程のなかで「会社で生きていく能力」を身に付けていくのです。
そんな会社の都合でおこなわれるジョブローテーションですが、その見返りとして社員は「出世して良き待遇」を手に入れることができるのです。
ある意味、バーター取引のようなものです。
取引という以上は、両者にとって利益があり続けるうちはうまく回っていきます。
ところが。。。
社員が会社から戦力にならないと判断され始めると、その歯車が狂い始めます。
会社は戦力にならないと判断した社員には容赦しません。
出世の道は断たれ、待遇は改善せず、さらにヒドイ状況になれば飼い殺しや左遷などの憂き目を味わうことになります。
それでも、会社にしがみついて生きていくことは可能です。
多くの社員はなんとか定年まではという思いで頑張っているのですから。
しかし、少数派ですが「いや、そういった生き方はしたくない!」と思う人も当然います。
会社にこれ以上振り回されたくない。人事異動のたびにビクビクするのはもうイヤ。
そうであれば、手段は一つです。
転職して、他の会社に活路を見出すしかありません。
しかし、ここで問題発生です!!
いまの私に転職できるだけの能力があるかなぁ・・・?
いままでジョブローテンションのなかで生きてきた人が、はたして転職して上手くいくのかということです。
転職で成功するには、仕事ができる能力が求められます。
しかし、残念ながら、ジョブローテーションのシステムで生きてきた人は、会社で生きていく能力ばかりを身に付け、仕事の能力を身に付けていません。
ある会社で部長まで勤めた人が、その会社を退職して、別の会社に入ったら、全く使い物にならなかったという話を聞いたことはありませんか。
この手の話は、有名な話です。
大手企業はジョブローテーション制度を採用しており、出世のためには社内の様々な部署を転々と異動しなければなりません。
異動するにつれて役職は上がっていくのですが、それに伴って仕事の能力やスキルが向上することはありません。
それはそうですよね。
短い期間で、次々と部署異動していくのです。
仕事の能力やスキルを磨き上げる時間なんてありません。
それにまた異動があると分かっていれば、専門的にスキルを磨こうなんて思いませんよね。
部署を転々とすることが仕事みたいなものですから。
そうなると、その人の仕事の出来る能力を測るバロメーターである『市場価値』は全く向上していかないということです。
いまの時代は専門性がないと生き残れない。
「社内価値を求めるか?」それとも「市場価値を求めるか?」
これは、会社員としての生き方を決める大きな選択です。
できれば、二つの価値を同時に手に入れたい。
しかし、環境がそれを許してくれません。
ジョブローテーションを繰り返していては専門的な能力やスキルを身に付けるには時間的に厳しいため、市場価値は向上しません。
さて、あなたなら、どちらの価値を身に付けたいですか。
私は、躊躇なく市場価値の高い人になることを望みます。
市場価値が高ければ、いまの会社を辞めて、どこの会社に行っても生きていけるからです。
さきほどの部長のような社内価値だけを持った人材では、いまの会社を辞めた瞬間に価値がゼロになってしまいます。
このようにならないために、市場価値を磨いておきたいものです。
- 市場価値が高ければ、会社が倒産しても、すぐに次の仕事が見つかります。
- 市場価値が高ければ、転職を希望すれば、すぐに転職先が見つかります。
- 市場価値が高ければ、ヘッドハンティングされることがあります。
では、市場価値を高めるためにはどうすればよいのか。
それは、ひとつの武器を持つことです。
つまり『スペシャリストになること』です。
営業のスペシャリスト、人事のスペシャリスト、製造開発のスペシャリスト、のようなある1つの職種のプロになることです。
職種については、挙げればキリがありません。
その中から、やりたい職種を選択して徹底的に極めることです。
そう考えると、ジョブローテーションは良くありません。
何でも屋さんになってしまいますからね。
経験職種が多いということは、転職の際に応募できる職種の幅が広がるという点ではメリットはあります。
しかし、求人情報には必ず職種「○○」と明記されています。
職種「○○」に、どれくらいの経験や実績があるかで採否が決まってしまいます。
多くの職種を幅広く、かつ浅く経験しているだけでは、戦力として採用されることはありません。
転職市場はキャリア採用です。実績と経験が重要なのです。
おわりに
いまの会社でずっと定年まで働き続けるのであれば、市場価値よりも社内価値を磨くべきだと考える人もいるでしょう。
しかし、それではいまの会社への一点張りになってしまいます。
その会社が沈んだら、あなたも終わりです。
たとえ会社が沈まなくても、人事評価であなたが干されるかもしれません。
気が合わない上司に当ってしまえば、人事評価で不当な評価を受けることになります。
そうなると会社員としては終わってしまいます。
やはり、社内価値だけを高めることはリスクが大きすぎます。
いまの会社の外には無数の会社が存在します。
無数の会社において通用する市場価値を高めるべきです。
そのためには、早めに希望の職種に就いてスキルを高める必要があります。
ジョブローテーションの最中でも、これぞ!と思った職種に当たれば、会社に要望を出して、その職種に留めてもらえるように働きかけてみましょう。
こういった要望は、案外聞き入れてもられるものです。
というのも、この仕事をしたいという要望は仕事に対する前向きな姿勢と捉えてくれるからです。
それでも、ジョブローテーションを続行して次の職種への異動させようとするのであれば、希望の職種に就いている間に、その職種に就ける別の会社を探すべきです。
いま事務職に就いていて、事務を極めたいのであれば、いまのうちに他の会社での事務職へ転職をしてしまいましょう。
その際には希望職種を紹介してくれる『リクナビNEXT』(知名度抜群です)を活用してください。
すぐにでも希望職種の案件を紹介してくれます。
とにかく希望の職種に就いて研鑽を積むことです。
それがあなたの市場価値を高め、あなたを守ってくれることになるのですから。
いつまでも会社の戦略に飲み込まれたままではいけません。
・40代からでも自己研鑽には励むこと。それが最大の自己防衛です。
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