「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入った」
大手自動車メーカーのトップの発言です。
終身雇用が終わるということは、会社員の身分が保証されなくなるということです。
もっと露骨に言えば、いつクビになるかもしれないということ。
本当に怖いですよね。
これからはビクビクしながら仕事をしなければなりません。
しかし、これは時代の流れでどうにもならない側面があります。
これまでは雇用を守るためだけに赤字事業や採算の低い事業を存続させていましたが、これだけ世界的競争が激化すればもうそういうわけにはいきません。
そんな経営をやっていては、会社が沈没してしまいます。
ここはしっかりと現実を受け止めて、終身雇用が崩壊することによるメリットに目を向けるべきではないでしょうか。
終身雇用崩壊でメリットがあるのかって?
メリットはあります。
それも3つもあります。
もう終身雇用の崩壊は免れることはできませんので、崩壊に伴うメリットに目を向けて前向きで生産的な生き方をしましょう。
今回は、終身雇用が崩壊することによって生まれるメリットを紹介します。
終身雇用が崩壊すれば、中途採用が活発化します。
終身雇用制度とは、一つの会社で一生を終えることです。
これは、人生設計が立てやすい。安心して働けるといった面があります。
でも、一方で、終身雇用はいま居る社員を守るために、外から入ってくる人を受け付けません。
だから、最初に入った会社を辞めて、別の会社に行こうとする人には厄介な制度です。
つまり、中途入社するのが難しいということです。
でも、終身雇用が崩壊すれば、会社への途中入社が活発化します。
もうすでにその動きは出ていますが、さらに大きなうねりとなって動き出すでしょう。
会社は終身雇用崩壊後、必要のない人材を放出し、必要な人材を外部から入れようとするでしょう。
必要のない人材として外に出された人は、別の会社から必要な人材として採用されることになります。
まさに『人材の流動化』です。
終身雇用とは一生一つの会社に居続けることなので、転職したい人にとっては動きたくても動けなかったということから迷惑な制度であったとも言えるのです。
身分は保証されたかもしれませんが、嫌な仕事や嫌な上司に我慢しなければならなかったはずです。
転勤にも文句一つ言わずに行かなければなりませんでした。
だって会社の外に出れば、もう次に行く会社がなかった状態でしたからね。
でもいまは中途採用の市場が活発化しています。
また、育児や介護のために会社を辞めた人が、再び仕事に復帰するときにも、中途採用の市場が活発化されていればすぐに仕事復帰できます。
終身雇用が崩壊すれば、自分に合った働き方ができます。
終身雇用の下では、会社と社員との関係が濃密です。
日本型経営は家族経営と言われるくらいに、会社は社員の生活を守る一方で、社員は会社に尽くす。
会社に尽くすとは、会社への一点張りです。
それも正社員でフル勤務、転勤も辞さない、まさに会社人間という形容詞がぴったりの働き方です。
終身雇用が崩壊すれば、両社の関係は希薄なまでなビジネスライクへと様変わりです。
終身雇用での会社一点張りのときは「正社員のフル勤務」しか働き方の選択肢はありません。
だが、それが崩壊すれば、自分の生活に合う働き方を選択できるようになります。
フルタイムでの勤務をせずに、時間を短縮した働き方。
転勤のない勤務地を限定した働き方。
こうした働き方は、終身雇用での「正社員・フル勤務」の一択の働き方の時代には考えられません。
また、昨今では国が副業することを奨励しています。
会社員としての本業以外でも働いて構わないということです。
こうなると、社員が会社への忠誠心はますます薄れていく一方で、会社も社員への情のような感情は薄れてきます。
でもこれも時代の流れです。
副業解禁の流れは「終身雇用が崩壊すれば、クビになることも視野に入れておけ!」といった国からのお達しですので、副業できる環境を手に入れておくことが重要です。
⇒これからは『副業できる環境が備わった会社』への転職が確実に増えていきます。
もう会社だけに頼らない働き方をしておくことです。
会社主導ではない、自分主導の働き方をしておけば、会社をクビになっても食い扶ち(くいぶち)を絶たれることはありませんから。
終身雇用が崩壊すれば、努力が報われます。
終身雇用であれば、努力しないでも会社に居られます。
与えられた仕事をこなしておけば問題なかったわけです。
勉強もせずともよし、自己啓発せずともよし。
出世して偉くなりたければ、それなりの勉強も努力もしなければならないでしょうが、終身雇用で年功序列であれば、自動的に出世はできたのです。
しかし、終身雇用が終われば、結果を残さなければ会社には残れません。
努力して実績を上げた人とそうでない人との差がはっきりと出てくるわけですから、それは悪い事ではありませんよね。
それに、終身雇用が崩壊終すれば、それに代わるものとして『ジョブ型雇用』が一般化されることは間違いありません。
ジョブ型雇用とは、会社が必要なときに、必要な人材を労働市場から調達することです。
ということは、これから私たちは捨てられないための努力もしながら、同時に必要と成される人材になるための努力もする必要があるわけです。
詳しくは下記の記事をどうぞ↓
・これからは『ジョブ型雇用』が主流です。そのための準備はできていますか。
本当の意味で、頑張った者が報われるということです。
終身雇用の下では、学校を卒業して最初の就職で入った会社で人生が決まってしまったわけですが、終身雇用が崩壊すれば、あとから人生をやり直せるチャンスが出てくるわけです。
そう考えると、終身雇用が崩壊したほうが仕事をしていてもモチベーションが維持できて、常に前向きな生き方ができそうですね。
おわりに
終身雇用の崩壊と言っても、すべての会社が終身雇用をやめることにはならないでしょう。
終身雇用をやめることになるのは、大手企業が中心となるでしょうね。
過剰な人員を抱えていることや、若い優秀な人員が次々と入社してきますからね。
競争激化の中、戦力にならない40代以降の社員を抱える余裕はありませんから。
詳しくは下記の記事に書いています。
・終身雇用が終わりを迎えるなかで、大企業の社員であることのデメリットが浮上!
こうした厳しい現実に直面するなか、終身雇用が終わることのマイナス面ばかりに着目するのではなく、終わることから生まれるメリットに着目するべきです。
大企業の社員は、先ほど申した通り、終身雇用が終わることで、最もその煽りを受けることが予想されます。
であれば、いまから準備をしておけばよいのです。
一方の中小企業の社員にとって、終身雇用の崩壊はチャンスです。
中小企業の社員は、大企業のような恵まれた環境で仕事をしていないため、真の実力を手に入れている人は多い。
中小企業では一人で何役もこなさなければならなかったり、また大企業のように会社の名前を使って仕事をすることは叶いません。
だから実力が加速度的に養われていきます。
終身雇用の崩壊の最大メリットは、中途採用の拡大による人材の流動化にあります。
努力して実力のある人にとっては、願ってもないチャンスです。
中小企業の社員が、大企業へ転職することだってできる時代になるのです。
とにかく実力をつけておくことが肝要です。
⇒40代からでも自己研鑽に励むこと。それが最大の自己防衛です。
終身雇用の崩壊は時代の流れで止めることはできません。
であれば、その波にうまく乗ることをを考えるべきです。そのために3つの終身雇用崩壊のメリットを紹介しました。
3つのうちの1つでも構いませんので、是非メリットを享受して、終身雇用崩壊後の新しい時代を勝ち取りに行きましょう。
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